うすのろと阿房な話

個人化された日常にあること 気になったことを。 白南風(しらはえ)とは梅雨が明ける6月末ごろから吹く、爽やかな空気を運ぶ南風のことを言います。

ブラジルW杯 準決勝 オランダ VS アルゼンチン

 

硬い試合を予想していたが、両者、守備に重心をおいているだけではなく、90分はほとんどリスクを冒していない。TVの解説で説明があったのだが、特にアルゼンチンが楔をほとんど入れてこない。2列目3列目のオーバーラップによるぶ厚い攻撃を放棄して、ラインの背後のスペース、特にサイド寄りに走らせるような低リスクな縦パスがほとんど。

 

センターラインより先で少しでもフリーにさせたら、TOPとの絶妙なワンツー、ドリブルによるペネトレイトをガシガシ使って中央を穿ってくるタイプと、スペースを見つけたらスピードでDF2人くらいはいつでも置き去りにしそうなタイプ、この攻撃のキーパーソンを両チームとも警戒しまくっています。

 

そのため、アルゼンチンはボランチを含め、DF陣はバイタルはもちろんスペースを埋めることと、ロベンと、ペルシ、へのパスコースを抑えておくこと。もしロベンにフリーで渡ったら、マスチェが主について、DFラインのカバーも速やかに近づき、スピードでブッチ切られないようにしている。その他のプレーヤーに対してほとんどつられて出ていくこともありません。

 

逆にオランダは10番に入った瞬間に、23人で囲める態勢を常に意識し、または維持したまま、DFの数的優位を崩すこともほとんどない。

 

見合って見合って。動かない。動かない。オランダのポゼッション中に守備ブロックの前をボールが横切る時間が長くなってくるだけです。ブロックの中で頻繁にポジションチェンジをして混乱させようとする動きもありません。

 

スナイダーも2列目から下がってブロックの網にかからないところでボールタッチしたがっているものの、有効なパスはほとんど出せません。自分から仕掛けるタイプでもないし、2列目以下、オーバーラップも自重している。攻撃の2人へのラインはしっかり潰している。当然といえば当然。

 

運動量が両チームともかなり抑え目。前ゲームの疲労の結果だけではありません。攻撃はしかけたいけど、下手にボールを取られてカウンターを喰らう方が怖くて、出ていけません。

 

どっかの記事で指摘されていたんだが、メッシには、ほとんどボールが渡ることがなくても、渡った瞬間に何かが起きそうな恐ろしい雰囲気は持っている。ボールを持っていないプレイヤーに相手DF陣が神経をゴリゴリすり減らされているのがよくわかります。スゴイね。

 

逆に、オランダのDF陣のユニットの集中力も半端なかったね。攻撃をメイクするキーパーソンは両方ともほとんど仕事ができずほぼ封殺。唯一 後半の終わり際、ロベンが抜ききるかどうかというところでマスチェが間一髪のところで足を目一杯のばしてかろうじてブロック。コーナーと判定された時のマスチェのアブねー!っつー安堵の表情とロベンのもったいねーと悔しがる表情の対比が良かった。

 

逆に、アルゼンチンの方は右サイドのアーリークロスから、ドンピシャでイグアインが合わせるも、オフサイド、リプレイ上はギリギリセーフに見えたが、これがほとんど唯一に近いビックチャンスだった。

 

オランダのもう一人のエースも体調というよりコンディション自体が芳しくなさそうなのが目に見えて、引き出す動きもなく、時たま、楔を受けてはほとんどDFにひっかけられて、途中からは完全に一発にまとを絞って少ない機会を伺っているようだった。

 

予想以上に、ジリジリした展開に。

 

延長の中盤から終盤にかけて、人数をかけて両者ゴールを目指しチャンスは作るも、決定打はなく終了。

 

試合の動きは非常に非常に少なかったが、カウンターチーム同士の勝ちに行く姿勢より、負けたくない方が先に立つ、表面上は至極つまらない。しかし見ようによっては、エースにボールが渡った瞬間の雰囲気の素晴らしさと、両チームの守備の集中力の高さに酔いしれたゲームだった。

 

こういう戦いしかできないとすればつまらんことこの上ないが、準決勝だし、戦い方が噛み合わない両チームだからこういう戦い方もあるよねと割り切れるゲームだった。

 

攻撃面では正直物足りなさもあったけど、致し方ないかな。両チームとも、守備している時より、攻めてる方がよっぽど危険。こんな変なゲームあまり見られない。

 

PKでアルゼンチンの勝利で終わるのはもったいないような気もする。ポゼッションはオランダが握っていたが、ビッグチャンスは両者ともほとんどなくPKに入った時点でもどっちの流れともいえない、シーソーゲームだった。

 

やる瀬ないので。アルゼンチンの24年ぶりの決勝進出への想いに軍配が上がったと解釈することにした。