うすのろと阿房な話

個人化された日常にあること 気になったことを。 白南風(しらはえ)とは梅雨が明ける6月末ごろから吹く、爽やかな空気を運ぶ南風のことを言います。

W杯 2014 ブラジル大会 決勝 ドイツ VS アルゼンチン

決勝トーナメント進む毎に、攻撃のタレントが離脱し、120分のゲームを2回も戦い、困憊の状態にあるアルゼンチンと 準決で開催国を破り 万全の状態のドイツ。

 

試合開始~前半半ばまでは、予想通りポゼッションをドイツに譲りつつも、アルゼンチンが比較的前からプレッシャーをかける部分もあるなど、カウンターの形から度々チャンスをつくる。ドイツ守備陣の軽率なミスもあり、ビッグチャンスも2度、どちらかでも決めていれば。というよりも、前半の前からのプレッシャーがあった背景には、早い段階でリードしておかないと このゲームの勝ち目が無くなっていくことがアルゼンチン自身も考慮に入っていたのだろう。

 

体力的には劣勢、0-0でも後半に行くに従い。ポゼッションを維持され、カウンターの中心のメッシにボールが渡る回数も減ってくる。可能な限りその前にアドバンテージをとっておきたい。そんな意図が見え隠れする前半だった。

 

ハーフタイム。90分終了後のタイムアウト 時間が過ぎるにつれてピッチから下がる選手の足どりが重くなっていく。ドイツの選手と比べても、その重さは目に見えて強くなっていく。

 

延長後半最後の最後、決勝点を演出したシュールレのドリブル。あれはキレが良かったというよりも(おそらく本人はあの位置からのつっかけは得意とはしているだろうが)、

 

相手の足が落ちていく中、ゲッツェの退いたスペースに二人を引き連れるような強引なドリブルをする選択した判断が良かった。

 

確かマスチェだったと思うが、90分終わった段階でかなり疲弊していて、通常ならば足に当てててコーナーに難なく逃れられるようなサイドアタックからのセンタリングに触れなかった。中央にいたDFもおそらくいいボールが上がってこないだろうと思って、ゲッツェのマークを視界から外していた。

 

ゲッツェの胸トラップから角度のないポジションからの左ボレーの一連の流れはほぼイメージ通り 完璧なボールコントーロールだった。

 

今回のW杯を締めくくるにふさわしいビューティフルゴール。戦前の予想したよりもはるかにアルゼンチンの攻勢があり、本当にどちらが勝ってもおかしくなかった。ビッグチャンスを確認しているだけで3度あったにも関わらず、ネットを揺さぶられなかったのは、ノイアーの存在によるところが多いだろう。

 

アルゼンチンの監督の事前インタビューで完璧な試合を見せるといっていたが、ゴールを除いたほぼすべての部分でその言葉に極めて近い高いクオリティのゲームを披露してくれた。

 

出し切ったといえど、計7試合を経て、最後の敗者となってしまったアルゼンチンに充実の雰囲気は微塵もなく、チャンピオンがW杯をかかげ歓喜の雄叫びをあげる様を、

 

全員が無表情に立ちつくし、見上げるしかなかった。

 

クローゼ、ラームなどの大ベテランが去ることになり、ポドルスキーメルテザッカーあたりの経験豊富な選手も次のW杯には何人メンバーに入れるかわからない。しかし、ケディラシュバインシュタイガーエジルミュラー、フメルス、ヘーベデスはあと何年かはトップフォームを維持するだろうし、これからのドイツの未来を担うだろう、ゲッツェシュールレ、ドラクスラーの世代のタレントも続々と出てきている。

 

 

スーパースターでなくとも、全てのポジションでハイクラスの選手を排出し、運動量が多く、戦術的に洗練されていて、相手に応じた守り方、攻め方ができる。スキのないチームを作り出すこの豊かな土壌は今後も数年は続くだろう。

 

他のスポーツサイトの記事で見たのだが、かなり巨額の費用をかけて、中長期的に様々なバックグラウンドを持つ多くの若い才能を掘り起し、磨き上げる育成のシステムを作り上げたそうだ。

 

基軸のチームはあれども、他のチームにも優秀な若手を数多く揃えているドイツの背中をこれから各国が追っていく形になるだろう。ドイツは、今大会通じてチャンピオンに値するサッカーを高いレベルで見せてくれていた。