うすのろと阿房な話

個人化された日常にあること 気になったことを。 白南風(しらはえ)とは梅雨が明ける6月末ごろから吹く、爽やかな空気を運ぶ南風のことを言います。

初戦 VS コートジボワール

日本× 1-2 〇コートジボワール

 

全体としてみれば、いうほど悪い試合ではなかった。結果として負けたことは痛恨の極みではあろうが、次につながる部分は少なからずあった。

 

コートジボワールは日本の良さを潰す戦術か、もともとかなり守備的なのか、ブロックを作って日本のショートパスを潰す方法に絞った戦い方をしてきたようだ。体力温存のためか前からプレスをかけるわけでもないが、DFのラインが極端に深いわけでもない。ゆえに非常にコンパクト。

 

ボールを奪ってからも中盤、中央部分の構成を避けてサイドがかなり高い位置にまで上がっていて、DF と FW 2列にも見えるような変則的なフォーメーションを取っている。(もしくは日本が前がかりにならなかった結果そのようにみえたのか。)

 

これでは日本が前からプレスをかけようと思えば必然 FW3枚~4枚くらいのポジショニングをしなければ 相手は自由にロングボールが蹴れる状態、しかもDFFWの距離が完全に間延びしているというほどでもない。裏のスペースを一気に使われる危険はあって、DFはこわくてラインを上げられない。

 

自分たちの中盤のでの構成を捨てると同時に日本のプレスとショートカウンターの危険を無力化しようとしたとも見えるし、中央をガラガラにしてY.トゥーレが自由にできるスペースを作ったのかもと推測できる。

 

 

日本側から見れば、前半は何度か効果的なサイドチェンジがあって、相手守備陣が分散された際にはサイドでボールが落ち着いた場面はあったが、それ以外はボールを取り返した後、奪われるまでの時間が昨年のコンフェデ ブラジル戦を思い出すように極端に短い。これではDFを押し上げることは不可能。相手の切り替えの早さの部分もあったが、通常で見られないような奪われ方が何度もあることで、相手のポゼッションが長くなっている。これでは中盤の体力が持つわけがない。相手のパス回しが特段優れているわけでは決してない。相手に戦略的に対応しきれなかったと言い換えることもできる。

 

むしろドログバの投入まではほとんど個人戦術だけでDF自体は集中していて崩れていないし、本当に決定的な場面はほとんどなかった。守備をドログバ仕様にして、低い位置で人数をかけ気合で一点を耐えようと思えばたぶん耐えれたように感じた。カウンターの上手い選手もいる出して手もいる。しかしイニシアティブを取るサッカーを掲げたからか、それは選択しないのだろう。

 

チームから出てきたコメントとして、戦略的にも統一しきれなかった部分があったということだが。2分間での2失点。それを必然と考えるのなら、それ以前になんらかの手段はあったと言える。

偶然、スーパーなクロスが奇跡的に上がった。もしくは予測もできないありえないミスがあったか、それらアクシデントに対応できなかったのなら、気に病む必要もない淡々と切り替えるだけだろう。

 

守備面で考えるならディテールを詰めれず逃げ切れなかったといえるし、攻撃面で言えば、追加点がとれず、やりたいことができなかったのかやらなかったのか、やらせてもらえなかったのか、ともかく不本意な形で負けたことは確かだろう。

 

ドログバ投入後はたしかに彼中心に相手の攻撃は有機的に動いてきてはいたが、むしろそれまでに日本の中盤の体力面がかなり削られていたという印象。後半は7番が入ってボールが落ち着く部分もあり、押し込む場面もあった。

 

主体的に動いて試合のペースをつかんでいる場合の疲労、受け身で同調しながら相手のペースに合わせ食らいついていく場合の疲労度の違い。今のチームでも受け身で持ちこたえるサッカーがまるで出来ないかといわれれば、相手の攻撃の割合に比べればかなり粘り強く守れていたと思う。2失点でよく守れたとはいえないと意見もあろうが。

 

しかしポゼッションサッカーを志向しても、1点のリードを守り切る局面が皆無かといわれればそうではない。ロングボールを多用されゴリゴリのパワープレーをされてこぼれ球を拾われればどうしても高い位置でのプレスは効かなくなるし、こぼれ球へのぶつかり合いを避けることはできないだろう。主軸は攻撃とボールポゼッションにありながらも、守備陣形のオプションを持って対応することは、全くテーマに反することではないと思う。

 

それより日本がビハインドになってから攻撃を仕掛けた場面で受けた相手のカウンターは想像通り、強烈でスペース与えて相手とこっちが同数だとそれだけで失点されそうな厳しい雰囲気はしたが、危険な局面でもDF陣はかなり粘っていた。むしろ1-2の最小得失点差で負けたことをポジティブに考えた方がよさそうなくらい。DFラインはよく凌いでいた。

 

相手の中盤DFの日本側のショートパスへの対応はほぼ完璧、中盤の1対1では日本の攻撃陣はほとんど勝てずボールを奪われ、コンビネーションも封じられて体力的に厳しくなりミスも重なり、打つ手がなくなったという印象。

 

W杯の初戦のプレッシャーはあった。いつもなら難なくといった場面でミスが連発したのは主にそれとどしゃぶりに近い雨だろう。ピッチが荒れたり、弛んだり、ボールが転がらないとフィジカルの有意な方にアドバンテージにはなるのは確かだ。

 

それに、ミスが続くとどうしても足元ばかりになって周りを余計につかえなくなる。他でも指摘されているように予想外に早い得点によりチームの戦い方が統一されずやや散漫になった部分はあったのか。

 

ミスの多さでリズムが出せなかった。出させなかった相手というのもある。研究され対策を練られるというのはリスペクトされているという証左でもあるわけだから。そして、初戦をみて相手も日本のストロングポイントを潰す対策を練ってくるだろう。

 

どこかの記事であったが、それがロングボールの多用だ、という意見には賛同しかねるが。ともかくそれを超える戦略や精度の高いポゼッションサッカーが用意できるかどうか、それがグループリーグ突破の鍵になるのは間違いない。

 

攻撃的サッカーのシンボルであるバルサやスペインも研究され対策を練られながら、それを超えるクオリティを表現し、同じ攻撃スタイルに固執しながらもレベルアップし続け数年に渡りほぼ頂点に立ち続けたことを忘れるべきではないだろう。

 

2010年から舵を切った日本サッカーと標榜するスタイルが、今後が迷走するのか、積み上げられていくのかはこれからの戦いにかかっている。文字通り勝とうが負けようが。