うすのろと阿房な話

個人化された日常にあること 気になったことを。 白南風(しらはえ)とは梅雨が明ける6月末ごろから吹く、爽やかな空気を運ぶ南風のことを言います。

ブラジルW杯での日本代表の敗退と その周辺のこまごました所感

W杯で代表が敗退し、狂瀾の中のフィーバーは幕を閉じたといっていいだろう。

 

ネットを中心に様々なメディアにおいてW杯、特に日本代表に対する取り上げ方を見ていたが、スポーツの大きなイベントというだけでなく日本代表という冠をつけた故か、スポーツ的な面を飛び越えた報じられ方が散見された。

 

4年に一度というお祭りの意味合いでもあり、普段サッカーに見向きもしない視聴者に対して興味を持たせるような記事も多い。必然、サッカーの本質とは全く関係ない煽り系のものも多かった。

 

長年のサッカーファンとしてこの現象に対して、ニワカ現象として揶揄したいわけではない。もちろん一部の狂瀾に対しては、乱痴気騒ぎという面以上のものとして問題視してもいい部分はある。

 

しかし、そういった記事はサッカーに限ったことでない。大きなイベントや事件に対して、卑近な例や感情移入しやすいトピック化して扱い、興味を寄せ、引かせるように構成させることは往々にしてみられる。それによって一時的にせよ、熱が盛り上がるという仕組み(という言い方が正しいかどうかはわからないが)が展開されている。

 

代表の早期敗退によって、狂瀾の波及はかなり限定されたものになった。一般的には大きな期待を持って応援していたサポーターも多い故に、その反動として期待した分以上の失望が日本サッカー全体に対して、ネガティブな影響を表してくるという懸念が出てくるのは当然であろう。

 

専門誌、スポーツ面の記事、長年携わっている スポーツ関係者の記事においては、執拗な戦犯探しや、サッカーとは全く関係のない部分での選手批判等は流石に見受けられない。OPENで打ち合いにいって、3試合で勝ち点1という現実を4年後、さらに言えばそれよりもっと先にどのように経験として活かしていくかという冷静なものが多い。

 

4年に一度訪れるイベントに対して、にわかファン、つまり日本代表だけは応援するファンをどのようにサッカーへの接触頻度の多い、ロイヤリティーの高い客にする為に掘り起こしていくか、早期敗戦で盛り上がらなかった今回こそ、その絶好の機会だと捉えるのが賢明だろう。

 

若い、有望な選手が比較的早い段階から続々と欧州のリーグを目指す中、ファンを国内リーグに興味を留めておくことが難しくなっていると言われる。欧州メジャーリーグ以外では稀な例としてメキシコリーグの隆盛が何年か前に伝えられた記憶があるが、現在その自国リーグへの関心度の高さが技術レベルの向上や選手層の厚さにつながっているのだろうか。

 

一方、選手が流出する側となった日本国内のリーグは、プレイのレベルの保持、サッカーの質の低下はもとより、普段サッカーになじみのない顧客が興味を寄せる大きなモチベーションであるスター選手がいなくなることでソフト力が落ちることは避けがたい。

 

しかし、同様な現象はプロ野球界においても見られたはずだ。一時、大リーグへ日本を代表するような選手が続々と流出し続け、国内野球の人気が低下するという懸念が叫ばれていた。そのような現状に対してリーグ全体としてどのように顧客獲得、保持を図っているのかは参考になるのではなかろうか。

 

サッカーに限らず、スポーツ観戦するとき、人はただ単に贔屓のチームの勝ち負けを見に来るわけではない。贔屓のチームが勝つ場面を見たいのは当然だが、スター選手の技術、創造的なプレー、中盤のこぼれ球の競り合い、ゴール前での一瞬の攻防、応援の雰囲気、サポーターの熱気、声援、つまりスタジアムとピッチの一体感を観に、または共に感じるために遠くのスタジアムまで足を運ぶ。

 

始めは点の取り合いや話題に取り上げられやすいスター選手の有無などがわかり易い盛り上がりの要素であるのは間違いない。そして、細かいルール、選手の成り立ち、チームの構成、指揮官の戦術、その一試合に込められた意味付け、それら結果だけでないゲームをつくるディテールを知るにつれて、点が入ってチームが勝つ以外にサポーター個人がそれぞれ面白みを見つけていくものだろう。

 

主にサッカー観戦専門だが、

極たまに、フラッと野球を観戦したりする。選手や順位などの事前情報がなくてもスタンドの応援や盛り上がりを見ながら試合そっちのけでビールを片手に悦に入ったりすることもある。勿論、野球を知ってるわけではないので、サッカーを見る時ほど頭を使ってない分、逆に、その場にいるという事やスタジアムの雰囲気を味わうといった別の楽しみを感じることに集中できる。野球の応援は選手個々にバリエーションがあるため、応援をメインに見ていても飽きなかった。

 

それが野球に特別現れる現象なのかはわからないが、サポーターがつくるスタジアムの雰囲気そのものが、試合のクオリティとともにチケットの価値の大きな部分を占めているのは間違いない。

 

スタジアムにつくまでの道すがら、連れ合いと試合の予想やチームについてあれこれ喋る、同じ色のユニフォームを着て見知らぬ者同士が、一時、擬似的とはいえど共同体となる。試合が終わってからは試合の批評を言いあい、ダメだしをしたり、スーパーゴールを想起して興奮したり。

 

勝ち負けとは別にそういう経験をサポーター同士が共有する思い出にできることが、スポーツ観戦の醍醐味であり価値の本質のように思う。

 

少年サッカー、高校サッカー、Jリーグ、天皇杯トヨタカップ、それぞれのカテゴリーでサポーターも変わりそれ故特有の雰囲気がある。技術レベル云々ではなく、それぞれに違った面白みがある。実は、それを作っているのは、選手の試合に対する熱意だけでなく、それを応援するサポーターがつくるスタジアムの雰囲気であることは忘れないでおきたい。