うすのろと阿房な話

個人化された日常にあること 気になったことを。 白南風(しらはえ)とは梅雨が明ける6月末ごろから吹く、爽やかな空気を運ぶ南風のことを言います。

未来の完全な予想など出来ないと思うし、思いたい。だが、大きな流れと意図を想像(シナリオ化)することであっても、ある種のリスクに対応する事が出来るはずだ。

経済学者や、企業アナリストの予想が外れることに対しての批判があったので、それに対しての異論を。

 

学者やアナリストの株価予想には、前提条件が存在する。それはいわゆる過去の”死んだ”データから前提条件を算出するもので、それで未来予想が完全に出来るのなら、不確実な未来を予想し、あるシナリオとポジションを持ち動き、利ざやを稼ごうとするトレーダーは不要になる。大きな富を動かせる組織や人物なら、そもそもその前提条件に入らないように水面下で動き趨勢(予測)に逆らうような動きも可能だ。

 

 ある種の情報を流通させることで前提条件を変える事だって可能だ。年金基金の巨額なお金(といっても、日本の株式市場に投入されている総額から見れば、数%でどれほどのインパクトがあるのかは疑問だ。額面どおりと受け取っても、実質的には日経平均を数%(数百円~1000円)上げる程度だと考えている。)しかし、そのアナウンス効果によって短期的にそれ超えて株価に影響を及ぼすことも出来るだろう。

 

 それより、むしろそのままにしているだけで、実質的に目減りする(年金)資金をそのままにしておくなら、今後、数値的には上がる、むしろ”あげる”と表現した方がいいかもしれない 事が決まっている部分に割り当てて、”収益を得た” という印象をつけたいのかもしれないと勘繰っている。

 

あるいは、インフレや、円安による物価高は年金生活者に対しては実質的には収入の大幅減になりうる、それをもって社会福祉への支出比率を小さくしようとしているのか、それを意図していると”すれば”かなり荒療治だ。

 実際に政治的に社会福祉システムの大きな変更を強いるような政策の提案が難しくなっているし、政権の支持基盤の抵抗は必至だ、政権の根幹が揺るぎかねない。そのため、そういう荒業を使わなければ対処できないような本当の難所にいるのかもしれない。そちらの方が注目すべきか。

 

理論と現実の関係の話をすると、

数学の分野の1つにもなってるような、複雑系とか動的平衡の考え方を聞くと、常に個々の人たちがいろんな動きをしている中で現状または均衡が保たれている(ように見える)わけで本来、趨勢に関わりそうもない、ほんの小さな出来事によりその平衡が崩れて予想を超える大きな影響を及ぼすこともある。世界の頭脳の粋と巨大なPCがあればそういう事さえ、予測しうるんだろうか。それはそれで恐ろしいが。

 

言葉(理論)の中で決着がつく、言い換えれば原因-結果の因果関係がはっきりし得るのは環境や条件が担保される 実験室や、頭の中、純粋なゲームとかの場合だけ。現実にそんなことはほぼありえないと皆知ってるから、補則条件とかつけるんだろう。確たる情報もってても、いきわたった時点で、それを前提に加えた上での予想が出来上がる。

現在の株価は 現在、”世間に出ている(入手しうる) 情報”を前提とした半年先の企業の価値の事だと言われている。逆に言えば、今ある確実な情報だけで未来予測(株価予想)をしようとしたとしても 向こう半年以上の予測しても、それほど有益な結果を得られないという事なんではないのか。

 

アナリストや専門家の株価予想が外れたと揚げ足取りをする意味などあまりないし。競馬の予想屋に文句を言うのは筋違いだ。どんなに優れた分析をして予想を立てたとしても、その情報が世間に出た時点で予想が確実なものではなくなるからだ。

 

 世界的に大きなインパクトを与える出来事を、いついつに発表する。なんてのが、例えば、優秀なハッカーによって誰にも知られずに、インサイダーと同じような情報が事前に得られれば、市井に出回ってる情報との格差でほぼ確実に儲ける事だって出来る。だから、世間に出回る情報以上の情報にアクセスできない市井の人が、特に短期的に株で確実に儲けるなんてことはそもそも考えない方がいい。

 

  バブル(投資の世界での理屈を超越(あるいは無視した)熱狂)が何故出来るあがるかというと、ほぼ高い確率で儲かる(または今まで大きな利益を得た事実がある/が本当は将来的には不確定だがそれは強調しない)という情報を出来るだけ多くの人に流布して資本を集中させ、その儲かるシステムが破綻する前に売り抜ける。そういうのは金融の世界では常に行われていることだろうし、法外に大きく利益を得られる人がいるのは損をいる人達がいるから。そういう単純な話を、大きく儲けようと仕掛ける人達はなるべく市井に出したがらないし、損をする人達においてもなぜか耳に入れようとはしない。不可解。

 

 無限に儲かることなんて現実ではありえない。スーパーマリオ無限1upだってプログラム上のバグだろう。

 

 その仕組みがどのようにして利益を出しているのか、ちゃんと調査して、現実的な前提条件を考えた上で理論上可能な範囲と市井に流れている希望的な観測やポジティブな情報の格差を考えてみれば、大きなポジションを取って市場を動かせる人や組織、政府や管理機構を含め、特異な情報に接触できる人達に対して遅れを取る事を相対的に小さくすることは出来る。そういう意味では理論や分析を利用する価値は十分ある。

 

 世界的に問題となったサブプライムローンだって、世界中で最も頭の良いと呼ばれている人たちが、仕組みを考え、中身のわからないようにある種のリスクのごった煮の福袋にして普及させて、一部の分析家や学者でさえ、そのものに一体どれくらいのリスクがあるのかよくわからないようにした事で、世界的に行き渡り、その破綻が大きな影響を及ぼす原因になった。

 

作った本人達は破綻の前に確実に売り抜けているはずだし、大きく張った投資銀行は一見、一部は破綻し大きな損失を被ったが、他の一部は政府からの保護策を引き出すことで、損失を世界中の一般的な投資家やその仕組みに乗った米国民に押し付けることに”成功”した。

 

 こういった世界の歴史をみても、世界で始めてのバブルであるチューリップの大暴落が起きてから、基本的に儲かる情報は、仕組みを作ったところか、儲けるところが握っていて、儲けようと思ったらそれを独り占め、または他を出し抜くことによって儲けている。というのは一攫千金を夢見る人が関与する金融の世界からすると至極、現実的な考え方だろう。

 

 そういう形でない金融の有益な部分ももちろんある。米でここ数十年で最も利益を出し続けているという、投資ファンドの1つが、長期的な視野で、その事業がどういうことをやって儲けるのか、今後、社会的にどれほどの影響をもたらすのか、それを調べ抜いて、他より早く投資・提携(青田買い)することで、その企業の未来においての世界に及ぼす影響力を最大化して、その恩恵を得て財を築いているらしい。

 

 そういう大きなポジションを占める事が出来、情報収集に優れている立場の組織や人と、市井で平均的な情報を持った人のポジションがどう異なっているのか、考えてみるだけでその情報の格差というのはわかるんじゃないか。仕掛けようとする立場からの情報を得ようとするのは根本的に間違っている。

 

儲かるという情報も本来確実な情報と受け手に対し真摯に流すのだとすると、確実に儲かる話なんて表現は使わない。流布した時点で、他から介入される可能性があって、絶対にはなり得ない。

 

他からの介入がなければ、ほぼ確実に利益が出しうる情報でも、大きなポジションを持った立場の人が、恣意的な介入をすれば大きな損失を被る情報にして”しまう”ことだって出来る。だから確実に儲かるなんて受け手に対しての誠意が ”もしあるとすれば” 普通の人間は使わない。

 

そういうのは言葉や情報伝達の問題であって、科学や理論の問題じゃない。専門的で受け手にはよく分からない小難しい話で煙に巻かれてとしたら、問題の根っこはそんな専門家にしか理解できないような難しい事じゃない。むしろ魔術師(マジシャン)にでも相談した方がいいかもしれない。